
本シリーズでは様々なシーンで利用される干渉計について、その原理や応用例などを解説する。今回は前回に引き続き、ファブリ・ペロー干渉計について紹介する。
本シリーズの記事はこちらから:
さまざまな干渉計:干渉計の分類
さまざまな干渉計:フィゾー干渉計(1)
さまざまな干渉計:フィゾー干渉計(2)
さまざまな干渉計:フィゾー干渉計(3)
さまざまな干渉計:トワイマン・グリーン干渉計(1)
さまざまな干渉計:トワイマン・グリーン干渉計(2)
さまざまな干渉計:トワイマン・グリーン干渉計(3)
さまざまな干渉計:トワイマン・グリーン干渉計(4)
さまざまな干渉計:マッハ・ツェンダー干渉計
さまざまな干渉計:マイケルソン干渉計(1)
さまざまな干渉計:マイケルソン干渉計(2)
さまざまな干渉計:マイケルソン干渉計(3)
さまざまな干渉計:ファブリ・ペロー干渉計(1)
さまざまな干渉計:ファブリ・ペロー干渉計(2)
本シリーズでは干渉計の分類の記事内の図1のように干渉計を分類しており、引き続き線形光学干渉計の1種である「ファブリ・ペロー干渉計」について紹介する。今回は前回からの続きで、ファブリ・ペロー干渉計の性能を定量的に理解するために重要な指標について解説する。これらの指標を理解することは、干渉計の設計・調整・測定結果の解釈において重要である。
分解能は、どれだけ近接した周波数成分を識別できるかを示す性能指標であり、ファブリ・ペロー干渉計の測定能力を直接的に表す。分解能はさまざまな干渉計:ファブリ・ペロー干渉計(2)で紹介したフィネスの定義式より、
$$\Delta\nu = \frac{\text{FSR}}{\mathcal{F}}$$
と表される。すなわち、分解能はFSRとフィネスの両方に依存する。高分解能を得るためには、FSRを小さく(共振器を長く)するか、フィネスを高くする必要があるが、FSRを小さくしすぎるとスペクトルの重なりが生じる。このため、用途に応じた適切なFSRとフィネスの設計が重要となる。
モードスペクトルは、ファブリ・ペロー干渉計を用いた測定において実際に観測される透過ピーク列であり、前述の3つの指標が具体的に可視化された結果といえる。レーザー光を入力した場合、観測されるピークはレーザー共振器の縦モード構造を反映しており、ピーク間隔、強度分布、線幅から以下の情報が得られる。
– 縦モード間隔
– 発振モード数
– 各モードの線幅
– 単一縦モード発振か多モード発振か
このように、モードスペクトルはファブリ・ペロー干渉計の各性能指標が統合された最終的な観測量であり、レーザー特性評価において最も重要な情報源となる。
前回と今回の2回にかけて、ファブリ・ペロー干渉計の理解に不可欠な4つの性能指標である「自由スペクトル領域」「フィネス」「分解能」「モードスペクトル」について解説した。共振条件と多光束干渉の原理を基礎としてこれらの指標を把握することで、ファブリ・ペロー干渉計がなぜ高分解能分光やレーザー縦モード解析に不可欠な装置であるかが明確になる。次回も引き続きファブリ・ペロー干渉計の解説を行う。
趣味は天文と写真と車。大学では天文サークルに所属し、暗い空を求めて日本中を飛び回っていた。 天文学を極めるために大学院に進学、在籍中は中間赤外線分光器の開発に従事。 カメラやレンズに関する記事を主に担当。