Aπραξία

光学測定器

さまざまな干渉計:ファブリ・ペロー干渉計(1)

2026.1.8

さまざまな干渉計:ファブリ・ペロー干渉計(1)

本シリーズでは様々なシーンで利用される干渉計について、その原理や応用例などを解説する。今回からファブリ・ペロー干渉計について紹介する。

本シリーズの記事はこちらから:
さまざまな干渉計:干渉計の分類
さまざまな干渉計:フィゾー干渉計(1)
さまざまな干渉計:フィゾー干渉計(2)
さまざまな干渉計:フィゾー干渉計(3)
さまざまな干渉計:トワイマン・グリーン干渉計(1)
さまざまな干渉計:トワイマン・グリーン干渉計(2)
さまざまな干渉計:トワイマン・グリーン干渉計(3)
さまざまな干渉計:トワイマン・グリーン干渉計(4)
さまざまな干渉計:マッハ・ツェンダー干渉計
さまざまな干渉計:マイケルソン干渉計(1)
さまざまな干渉計:マイケルソン干渉計(2)
さまざまな干渉計:マイケルソン干渉計(3)
本シリーズでは干渉計の分類の記事内の図1のように干渉計を分類しており、今回は線形光学干渉計の1種である「ファブリ・ペロー干渉計」について紹介する。

 

ファブリ・ペロー干渉計は、2枚の平行な半透過ミラーで形成される光学共振器(エタロン)を用い、多重反射による干渉を利用して光の波長、周波数、線幅などを高分解能で選択・測定する装置である。19世紀末にCharles FabryとAlfred Pérotによって考案された。図1にファブリ・ペロー干渉計の基本的なレイアウトを示す。互いに平行に配置された2枚の半透過ミラーの間で光が何度も反射を繰り返した後、集光レンズによって集光され、干渉縞(フリンジ)が生成される。波長を\(\lambda\)、ミラー間隔を\(L\)、ミラー間媒質の屈折率を\(n\)、入射角を\(\theta\)とすると、共振(透過が最大)となる条件は次式で表される。

$$2nL\cos\theta=m\lambda \quad (m=0,1,2,\ldots)$$

この式は、ミラー間を往復する光の位相が整数倍の\(2\pi\)となる条件を意味している。条件を満たす波長では、各往復光が同位相で重なり合い、透過光が強め合う。一方、条件から外れた波長では干渉により透過が抑制される。ミラーの反射率が高い場合、光は多数回反射するため干渉効果が累積される。その結果、透過スペクトルは特定の波長において非常に鋭いピークを示す。この多重反射による「多光束干渉」が、ファブリ・ペロー干渉計の最大の特徴である。

 

図1:ファブリ・ペロー干渉計のレイアウト

 

これまでに紹介したフィゾー干渉計、トワイマン・グリーン干渉計、マッハ・ツェンダー干渉計、マイケルソン干渉計はいずれも、光路を途中で2つに分割して干渉させる「二光束干渉」に分類され、主に光路差の測定を目的としている。これに対し、ファブリ・ペロー干渉計は光の周波数構造を詳細に調べることを得意とする。そのため、レーザーの縦モード解析や線幅評価といった用途において不可欠な装置となっている。さらに、高分解能分光の分野では、回折格子分光器では分離が困難な微細なスペクトル構造の観測が可能である。天文学分野においては、太陽や恒星の分光観測にファブリ・ペローエタロンが用いられ、速度場や磁場構造の解析に大きく貢献している。

 

次回も引き続きファブリ・ペロー干渉計の解説を行う。

 


フィゾー干渉計は、基本形では二光束干渉であるが、条件によって多光束干渉として振る舞う場合がある。

この記事の監修者プロフィール

内山 允史

趣味は天文と写真と車。大学では天文サークルに所属し、暗い空を求めて日本中を飛び回っていた。 天文学を極めるために大学院に進学、在籍中は中間赤外線分光器の開発に従事。 カメラやレンズに関する記事を主に担当。

  • お電話でのお問い合わせ

    075-748-1491

    お急ぎの方はお電話にてご連絡ください。
    受付時間:平日10:00〜18:00

  • メールでのお問い合わせ

    MAIL FORM

    フォームよりお問い合わせください。

TOP