本シリーズでは、様々なシーンで利用される干渉計について、その原理や応用例などを解説する。今回は線形光学干渉計の代表例の1つである「フィゾー干渉計」について紹介する。
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さまざまな干渉計:干渉計の分類
フィゾー干渉計は光学素子を検査する最もポピュラーな装置である。簡単な構成で高精度に平面や球面の測定を行うことができる。市販のフィゾー干渉計ではZygo干渉計が有名だろう。
フィゾー干渉計のレイアウト例を図2に示す。光源には単色点光源(とりわけレーザー)を使用し、まず光源からの光をコリメーターレンズ(もしくは凹面ミラー)によって平行光にする。平行光は高精度な平面原器に到達し、一部の光は参照面で反射し、残りの光は透過して検査面で反射する。参照面での反射光と検査面での反射光は元の光路を戻り、ビームスプリッタで折り曲げられ、結像光学系を通って最終的に2ビーム間の光路差に対応したフリンジ(干渉縞)が観察面上に生成される。平面原器は、参照面の裏側にARコートまたはウェッジ(小さな傾き)がついており、裏面からの反射光対策が施されている。
図2は検査面が平面の場合のレイアウトを示したが、図3には検査面が凹面または凸面の場合のレイアウトを示した。曲面を測定する場合は球面原器(凹面)を使用する。検査面が凹面の場合は、測定対象を遠ざけることで光線が広がっていくため、原理的にはどんなに大きなサイズの検査面でも測定が可能である。しかし、凸面の場合は測定対象を遠ざけると光線が狭くなるため、球面原器サイズより大きな検査面を測定することができない(平面も凸面と同様に平面原器サイズより大きな検査面の測定は不可)。一般的に「大きな凸面形状は製作が難しい」と言われるのは、凸面形状の検査が難しいことが理由である。
次回も引き続きフィゾー干渉計の解説を行う。
趣味は天文と写真と車。大学では天文サークルに所属し、暗い空を求めて日本中を飛び回っていた。 天文学を極めるために大学院に進学、在籍中は中間赤外線分光器の開発に従事。 カメラやレンズに関する記事を主に担当。