Aπραξία

光学測定器

さまざまな干渉計:トワイマン・グリーン干渉計(2)

2025.5.15

さまざまな干渉計:トワイマン・グリーン干渉計(2)

本シリーズでは様々なシーンで利用される干渉計について、その原理や応用例などを解説する。前回に引き続き、トワイマン・グリーン干渉計について紹介する。

本シリーズの記事はこちらから:
さまざまな干渉計:干渉計の分類
さまざまな干渉計:フィゾー干渉計(1)
さまざまな干渉計:フィゾー干渉計(2)
さまざまな干渉計:フィゾー干渉計(3)
さまざまな干渉計:トワイマン・グリーン干渉計(1)

 

今回の記事を読み進める前に、ぜひとも前回の記事を一読いただきたい。今回はトワイマン・グリーン干渉計の派生型を2種類紹介する。

 

CGH形状計測装置(株式会社フォトクロス)

弊社が開発したCGH(Computer Generated Hologram)形状計測装置の一部において、トワイマン・グリーン干渉計のようなレイアウト(図1)を採用している。本装置は高精度測定が可能な「干渉計モード」と、大きな面形状誤差が測定可能な「ハルトマンモード」の2つの測定モードを有しており、特に前者の「干渉計モード」はCGHを利用したトワイマン・グリーン干渉計の派生型である。

 

図1:CGH形状計測装置における干渉計モードのレイアウト(a)と、ハルトマンモードのレイアウト(b)。いずれも検査面は凹面

 

図1(a)では、単色の点光源から出た光がコリメータレンズによって平行な光束に変換され、CGHにより2つの光束に分割される。CGHで0次回折した光は高精度な平面原器(参照面)で反射した後、復路においてCGHで再び0次回折する。CGHで1次回折した光は測定対象(検査面)で反射した後、復路においてCGHで-1次回折する。これら2つの光はCGH部分で重ね合わせられ上流へ戻り、ペリクルビームスプリッタで反射後にリレーレンズ(結像系)を通じて干渉計カメラ上に集められ、光路差に応じたフリンジ(干渉縞)が生成される。本装置では時間位相シフト干渉法を採用しており、参照面をピエゾステージによって移動させ、複数のフリンジ画像を取得することで面形状を測定する。本装置ではCGHを利用した自由な形状の波面を生成できるため、自由曲面の測定が可能となっている点が特徴である。また、図1(b)のハルトマンモードによって広いダイナミックレンジでの測定に対応していることも大きな特徴であり、詳細はこちらの記事も参照いただきたい。

 

Dynamic Interferometry(4D technology社)

4D technology社が開発したDynamic Interferometryは、偏光を利用したトワイマン・グリーン干渉計の派生型である(図2)。

 

図2:Dynamic Interferometryのレイアウト(検査面が平面)

 

単色の点光源から出た光はコリメータレンズによって平行な光束に変換され、偏光ビームスプリッタにより2つの光束に分割される。一方は偏光ビームスプリッタで反射するS偏光成分であり、これは1/4波長板を通過して高精度な平面原器(参照面)で反射し、復路でも1/4波長板を通ることでP偏光となり、再び偏光ビームスプリッタに入射すると今度は透過して結像系へと向かう。もう一方は偏光ビームスプリッタで透過するP偏光成分であり、これは1/4波長板を通過して測定対象(検査面)で反射し、復路でも1/4波長板を通ることでS偏光となり、再び偏光ビームスプリッタに入射すると今度は反射して結像系へと向かう。これらの光は偏光ビームスプリッタで重ね合わせられた後、結像系を通じて高画素カメラ上に集められ、光路差に応じたフリンジ(干渉縞)が生成される。

 

このカメラのセンサの前にはPixelated Phase Maskが置かれている。一般的なイメージセンサで用いられるRGGBのカラーフィルターアレイのように、このPixelated Phase Maskは通過すると偏光によって0/90/180/270°の位相シフト情報が2\(\times\)2ピクセルに分かれて記録される。一般的なイメージセンサでは1回の撮影でRGB画像(すなわちカラー画像)が同時に取得できるように、Pixelated Phase Sensorでは0/90/180/270°の4位相画像を同時に取得できる。このように複数の位相を同時撮影する方法は「空間位相シフト干渉法」と呼ばれ、時間位相シフト干渉法で課題となっていた外的振動に対してロバストに撮影できることが特徴である。一方、1つのセンサ上に4つの画像を撮影するため、1画像当たりの解像度が下がることが短所ではあるが、その対策として本装置では高画素カメラを使用している。

 

次回も引き続きトワイマン・グリーン干渉計の解説を行う。

この記事の監修者プロフィール

内山 允史

趣味は天文と写真と車。大学では天文サークルに所属し、暗い空を求めて日本中を飛び回っていた。 天文学を極めるために大学院に進学、在籍中は中間赤外線分光器の開発に従事。 カメラやレンズに関する記事を主に担当。

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