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結像光学系

各社のカメラ用語の違い1:手ぶれ補正 その3

2024.1.25

各社のカメラ用語の違い1:手ぶれ補正 その3

各社のカメラ用語の違い1:手ぶれ補正 その2では、手ぶれの種類について紹介した。今回は具体的な補正効果の指標とその表現について紹介する。

手振れ補正効果には通常「段」という単位が用いられる。「段」は明るさを表す指標であり、英語でいう「EV(Exposure Value」(露出値の単位)に相当する。段数は光の入る量を段階化したものであり、例えば段数が1つ上がる(+1段)と、光の入る量は2倍になり、段数が1つ下がる(-1段)と、光の入る量は1/2倍になる。このとき、基準状態と同じ明るさで撮影するためにシャッター速度を調整する場合を考えると、+1段ではシャッター速度を1/2倍に、-1段ではシャッター速度を2倍にすることに対応している。

 


表1:段数、光量とシャッター速度の調整量

 

手振れ補正効果の説明には「補正効果”4.0段”」というような表現が用いられるが、これは表記の段数だけシャッター速度を速くした状態の手振れ度合いで撮影できる、という意味である。補正効果n段の状態を式で表すと、以下のように表記できる。

 

$$\frac{A}{B}=\frac{1}{2^{n}}$$

 

Aは手ブレ補正機能を使用せずに撮影した時のシャッター速度、Bは手ブレ補正機能を使用して撮影した時のシャッター速度であり、2枚の撮影画像内では発生している手振れ度合いが同程度になっている。たとえば、4.0段相当の手ぶれ補正を使ってシャッター速度1秒で撮影した場合、手振れ補正を使用せず1/16秒で撮影しているのと同じだけの効果が得られることになり、手振れが低減される。

 

2023年時点では、最大8.0段分の手振れ補正効果を持つカメラが発売されている。このカメラの手振れ補正効果は、シャッター速度1秒で撮影する場合は1/256秒相当、シャッター速度1/16秒で撮影するは1/4096秒相当となり、手振れを大幅に低減することができる。

 


表2:手振れ補正効果と相当するシャッター速度

 

今回は、手振れの種類と補正効果について解説した。次回は手振れ補正機構の各種原理について解説しよう。

この記事の監修者プロフィール

内山 允史

趣味は天文と写真と車。大学では天文サークルに所属し、暗い空を求めて日本中を飛び回っていた。 天文学を極めるために大学院に進学、在籍中は中間赤外線分光器の開発に従事。 カメラやレンズに関する記事を主に担当。

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