Aπραξία

結像光学系

光学収差を理解する:単色収差の分類(1)

2024.5.30

光学収差を理解する:単色収差の分類(1)

本シリーズでは、レンズを使った結像光学系(望遠鏡、カメラ、プロジェクターレンズ等)の光学設計に必要な収差を理解することを目標にする。結像光学系の光学設計におけるゴールの一つは、レンズによって発生する像のボケを最小化することである。一般に像のボケは収差と呼ばれ、大きく「単色収差」と「色収差」に分けられる。

単色収差とピンボケ

単色収差とは、各色(波長)の光に共通して発生する収差である。広義には、よく耳にする「ピンぼけ」もその一つとも言える。しかし、ピンぼけは焦点面の移動で補整が可能なため、問題とならないアプリケーションがほとんどである(図1)。光学設計時に注目すべき単色収差は、検出器面の移動によっても補整が不可能な”収差”である。代表的な収差として「ザイデル収差」がある。それらは、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の5 つに分けられる。

 



 

図1 (上):収差を持たない光学系の光路図。(下):上図において、焦点面1,2,3 に検出器を置いたときに模擬的な星空をシミュレーションした結果。例えば、面1や面3に検出器を置いた場合はピンぼけが発生し、像が大きくなるが、検出器を面2に置くことでピンボケのない像が得られることが分かる(=合焦状態)。合焦状態においても、完全な点像になってないのはシーイングの効果を考慮しているためである。

球面収差

球面収差とは、ピンボケと同じように視野一面に円形上のボケを発生させる収差である。(次回以降に紹介する)他のザイデル収差と異なり、視野全面にわたって同等のボケが発生するため、視野が狭い光学系でも無視することができず、多くのケースにおいて改善が優先される収差である。球面収差はレンズに入射する光線の光軸からの高さが大きくなるにつれて、光線と光軸の交わる位置が次第にずれていく現象である(図2)。その結果、光線群は無収差光学系(図1 上) のそれとは異なり、一点に収束しなくなる。検出器の位置をピンボケの場合と同様に検出器面の位置を調整すると、像のボケが最小になる(=光線群からなる包絡面断面直径が最小になる) 位置を探すことができる(図2 下の中央画像)。この位置における点像を「最小錯乱円」と呼ぶ。最小錯乱円が設計光学系の結像性能の要求値より小さければ、球面収差が存在しても問題はない。図2 下の左図と右図は、最小錯乱円が得られる位置付近で検出器を前後に動かした場合に得られる像を示しているが、検出器をレンズに近づけた場合と、遠ざけた場合で結像の様子が異なることが分かる。レンズに近づけた場合は、円形上のボケの外縁で光の強度が大きいドーナツ状の光度分布になるのに対し(図2 下図左)、レンズを遠ざけた場合は中心部で光の強度が大きい尖ったような光度分布になる(図2 下図右)。ボケのサイズが同じであっても、像内の強度分布が検出器の設置位置に依存して大きく変化するということも、分布が常に一様であるピンボケとは異なる性質である。

 



 

図2(上):球面収差を持つ光学系の光路図。(下):上図の光学系で得られる像。図1と同様に、像の直径が最も小さくなる位置(面2)での像と、光軸に沿って検出器を前後に移動させた場合(面1と3)の像を示している。

 

次回は残りの単色収差について取り扱う。

この記事の監修者プロフィール

橋ケ谷 武志(ゲストライター)

京都大学大学院理学研究科 宇宙物理学教室 博士課程在籍。 研究内容は自由曲面を用いた軸外し光学系の開発。

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