12月13日はふたごの日

2023.12.14

12月13日はふたごの日

私は車を所有していないので知らなかったのだが、カーナビの中には起動時に「今日は〇〇の日です」と、その日が何の記念日かを教えてくれる機能を持つものがあるらしい。社長は昨日(12/13)にカーナビから「今日はふたごの日です」と教えてもらったそうだ。「ふたごの日」 ー そういえば、そろそろふたご座流星群の極大期である。

「流れ星」として親しまれる流星は、宇宙空間にある直径1mm〜数cm程度の大きさを持つ固体微粒子(塵・ダストともいう)が地球大気に突入することでみられる発光現象だ。大量の流星が全天の中のある特定の方向(放射点という)から沢山流れてくるように見える現象を「流星群」という。流星群はその放射点のある星座の領域から名前が付けられており、「しぶんぎ座流星群」、「ペルセウス座流星群」、「ふたご座流星群」の3つが特に有名なのではないだろうか(国立天文台のホームページではこれらが「3大流星群」として紹介されている)。

 

流星の元になっている固体微粒子は主に彗星から放出される。彗星(ほうき星)は氷と固体微粒子が混ざった天体で、彗星が太陽に近づくと氷が昇華した結果として固体微粒子が放出される。特に短周期彗星と呼ばれる短い期間で何度も太陽のまわりを周回する彗星の軌道上には、たくさんの固体微粒子が浮遊しており(ダストトレイルと呼ばれる)、これが地球の軌道と交差した時、地上からは流れ星が大量にみられるようになる。流星群のみられる大まかなメカニズムである(多くの興味深い話があるので、詳細については別記事でじーっくり紹介させて頂きたい。。。)

 


図1:73P/Schwassmann-Wachmann3彗星のダスト・トレイルの様子(筆者の敬愛するBill Reach博士が観測)


 

現代においては多くの彗星の軌道が解析されれており、そのためいくつかの流星群については、その元となる固体微粒子の放出源である彗星(専門的には母天体という)が判定されている。例えばペルセウス座流星群の母天体は109P/Swift-Tuttle彗星である。ふたご座流星群については、まだ確定ではないが、彗星ではなく小惑星の 3200 Phaethon (フェートン)がその母天体であると言われている。この小惑星はとても奇妙な小惑星で、表面反射の様子もおかしい(偏光度が異様に高い)し、近年の観測で放出物(彗星の「尾」に相当するもの)が観測されたものの、その尾の成分は流星の元となっている固体微粒子ではなくナトリウム原子だった、などなど研究者たちを惹きつけてやまない天体なのだ。現在日本ではこのフェートンのフライバイ探査計画「DESTINY+」が進んでいる。計画の詳細はJAXAのページに譲るが、2024年度の打ち上げを目指しているそうだ。

 

気になる今年のふたご座流星群だが、2023年12月15日の午前4時が極大(最も流星が見られる時間帯)になる。寒い朝に早起きをするのは辛いものがあるが、起きれた方はぜひ空を眺めてみてほしい。

 


図2:ふたご座流星群の放射点(国立天文台より)

 

なお「ふたごの日」の由来は「1874年(明治7年)の12月13日に「双子の場合、先に産まれた方を兄・姉とする」という太政官指令が発令された(それまでは後に生まれた方を兄・姉としていたそう)」ことだそう。結局ふたご座流星群とはまったく関係がないとういうオチなのだが、この偶然になにか意味を見出そうとしてしまうのは研究者の”性”なのかもしれない。。。

この記事の監修者プロフィール

小林 仁美

大学院在学時に携わった分光観測、低温実験とデータ解析をきっかけに、 実験・データ解析のサポートビジネスを創案。エストリスタを立ち上げ業務に従事する傍ら、 購買から経理までバックオフィス関連業務を一手に担う。 光学に関する素朴な疑問や分光・天文学に関する記事を主に担当。

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