Computer Generated Hologram(計算機生成ホログラム、CGH)は、光の回折・干渉の効果を使い、任意の方向に光を飛ばす(波面を作る)ことが可能な光学素子である。今回はCGHの使用例として、干渉計と組み合わせた非球面測定について紹介する。
CGHは干渉計と組み合わせて使用されることがよくある。特に非球面形状を持つミラーやレンズなどの光学素子の製造時の形状測定において、CGHと干渉計を組み合わせることが多い。図1にCGHと干渉計を用いた非球面ミラーの形状測定系の例を示す。
図1:CGHと干渉計を用いた非球面ミラーの形状測定系の例
この例ではFizeau型レーザー干渉計から出射したコリメートビームがCGHに入射し、非球面ミラーの形状測定用のビームが形成される。ビームは非球面ミラーによって垂直に折り返され、再度CGHを通過することでコリメートビームになり、レーザー干渉計に戻るという構成である。レーザー干渉計は、コリメートビームとして波面誤差を測定するが、得られた誤差を非球面ミラーの形状誤差として評価する。
CGHを使った非球面光学素子の測定には、ヌルレンズに比べ、いくつかの利点がある。
このような理由から、CGHと干渉計の組み合わせによる非球面光学素子の形状測定は、非球面光学素子の製造・検査において1つの欠かせない技術要素となっている。
大学院在学中は素粒子物理学を専攻。趣味の天体写真も物理理論に裏付けられた解析方法を行っており、 アマチュア天文家の間で蔓延している都市伝説は一切信じない。赤道儀マニアでアマチュア天文機器にやたら詳しい。 計算機ホログラム(CGH)や干渉計などの高度な物理計算を軽々とこなす。 光学・物理学に関連する原理や数学的理解に関する記事を担当。