
前回に引き続き、今回もフルサイズより大きい大型イメージセンサーについて解説する。前回は大型イメージセンサーを理解するための前提知識として、フィルム時代のフォーマットについて紹介した。35mm判・中判・大判といった名称は、フィルム時代に生まれた撮影フォーマットであり、「645」や「6×7」、「4×5」といった呼称にもその歴史が反映されている。今回は、それらのフォーマットがデジタルカメラへどのように受け継がれ、現在の大型イメージセンサーに発展したのかを紹介する。
現在の民生用デジタルカメラで採用されている主な大型フォーマットを表1に示す。フルサイズより大きいセンサーには2種類の中判サイズがあり、そのサイズはフィルム時代の中判とは一致していない。また、大判サイズのイメージセンサーは産業用・科学用途では存在するものの、民生用カメラ用では採用されていない。

現在販売されている中判デジタルカメラの多くは、44×33 mmまたは54×40 mmのセンサーを採用している。一方、フィルム時代の代表的な645判の撮影画面は約56×41.5 mmであり、現在の44×33 mmセンサーより一回り大きい。この違いには、イメージセンサーの製造コストが大きく関係している。イメージセンサーはシリコンウェハから切り出して製造されるため、サイズが大きくなるほど1枚のウェハから製造できる個数は減少し、わずかな欠陥でも製品にならない可能性が高くなる。その結果、製造コストは急激に上昇する。このため、フィルムと同じサイズではなく、画質と製造コストのバランスに優れた44×33 mmが現在の中判デジタルカメラの主流となっている。
表1に示したように、現在の中判センサーは大きく「44×33」と「54×40」の2種類に分類される。
近年はセンサーや画像処理技術の進歩により、中判サイズで1億画素を超えるイメージセンサーも登場している。2026年7月現在、1億という高い画素数は民生用フルサイズカメラでは実現されておらず、中判センサーの大きな強みの1つとなっている。また、大型センサーは撮像面積が大きいため、より多くの光を取り込むことが可能であり、ノイズを抑えやすく、階調表現が豊かになる、といったメリットがある。一方で、カメラやレンズが大型化・重量化しやすいことや、製造コストが高くなることなどがデメリットとして挙げられる。
図1にセンサーサイズの比較図を示す。現在の中判センサーは、フィルム時代の名称を受け継ぎながらも、センサー製造技術や製造コストを考慮してサイズが最適化された新しいフォーマットとなっている。特に44×33 mmは、画質・価格・携帯性のバランスに優れたフォーマットとして普及しており、54×40 mmは最高画質を追求する用途で活用されている。

図1:センサーサイズの比較図
趣味は天文と写真と車。大学では天文サークルに所属し、暗い空を求めて日本中を飛び回っていた。 天文学を極めるために大学院に進学、在籍中は中間赤外線分光器の開発に従事。 カメラやレンズに関する記事を主に担当。
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