
前回の記事では小型センサーについて紹介したが、今回から2回にわたり、フルサイズより大きい大型イメージセンサーについて解説する。第1回目にあたる今回は、大型イメージセンサーを理解するための前提知識として、フィルム時代のフォーマットについて紹介する。これまでに紹介した1型センサーやAPS-C、フルサイズといったデジタルカメラのセンサーサイズは現在では広く知られている一方、フルサイズより大きな撮像フォーマットになると「中判」「645」「6×7」「4×5」など数字だけの名称が登場し、初めて目にする人には分かりにくい。これらはデジタルセンサーのサイズではなく、フィルム時代の撮影フォーマットの名称である。現在の大型デジタルセンサーもこのフィルム時代の規格を受け継いでいるため、その由来を理解すると全体像が見えてくる。
写真用フィルムは、その構造や大きさによって大きく3種類に分類される(表1)。現在のフルサイズセンサーは35mmフィルムの撮影画面(撮影領域)を受け継いだものであるが、中判や大判はさらに大きな撮影領域を持ち、高画質を求める撮影で用いられてきた。「645」「6×7」「4×5」といった名称は、フィルム上で写真が記録される撮影領域のフォーマット名である。

中判(Medium Format)は、35mm判より大きく、大判より小さいフォーマットの総称である(表2)。中判の名称は、おおよその撮影画面サイズをセンチメートルで表したものである。例えば「645」は「6 cm × 4.5 cm」、「6×7」は「6 cm × 7 cm」を意味するが、実際の撮影画面はフィルムの縁などの影響で数mm小さい。また、表1中にある120フィルムは、中判で使用されるロールフィルムの名称である。「120」はフィルムの寸法ではなく、1901年にKodakが発売した際の商品番号(規格番号)に由来する。フィルム幅は約61 mmで、同じ120フィルムを用いながら、カメラ側でフィルム送り量を変えることで645や6×6、6×7などの異なるフォーマットを実現している。なお、中判でセンチメートル表記が用いられているのは、メートル法が普及し始めた1900年代前半に規格が定着したためとされている。

大判(Large Format)は、中判よりさらに大きなフォーマットである(表3)。大判では120フィルムではなく、1枚ずつ切り出されたシートフィルムを使用し、このフィルムサイズ自体がフォーマット名となっている。大判は中判より歴史が古く、1800年代後半にイギリス・アメリカで発展したため、インチ表記が用いられる。例えば「4×5」は「4インチ×5インチ(102 × 127 mm)」を意味する。実際の撮影領域はフィルムホルダーで周囲が隠れるため、フィルム寸法よりわずかに小さい。

中判と大判で注意すべき点は単位の違いであり、中判はセンチメートル表記、大判はインチ表記が用いられる。例えば「6×6」と「4×5」を数字だけで比べると6×6の方が大きく見えるが、実際には単位が異なるため、4×5インチ判は6×6cm判よりもはるかに大きな撮影画面を持つ。図1に各フォーマットのサイズ比較図を示す。

図1:中判と大判のサイズ比較図
次回は、これらのフィルムフォーマットがデジタル時代にどのように受け継がれ、現在の中判デジタルセンサーへ発展したのかを紹介する。
趣味は天文と写真と車。大学では天文サークルに所属し、暗い空を求めて日本中を飛び回っていた。 天文学を極めるために大学院に進学、在籍中は中間赤外線分光器の開発に従事。 カメラやレンズに関する記事を主に担当。
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